日本のビジネスマンが「ちょっといい靴を履きたい」と思ったときに、たどり着くブランドといえば「REGAL」でしょう。
私も新入社員のころに当時の役員から「靴を買うならリーガルを買え!」と言われた記憶があります。
もちろんスコッチグレインやユニオンイペリアルなど、クオリティの高い日本の紳士靴ブランドは他にもありますが、「どこでも買える質の高い靴」という意味ではリーガルの右に出るブランドはないでしょう。
そんな日本最大の本格靴メーカーであるリーガルの最高クオリティの靴はどんなものなのか?
そこを一度も体験せずに英国靴ばかりを語ってはいられない!
ということで今回はビスポークシューズも受け付けているREGAL TOKYOの「工房九分仕立て」をレビューします!
目次
REGALの高価格帯ブランドを検索!
REGALはその規模の大きさから、多くのブランドを抱えています。
「REGALの最高クオリティ」ということで二つのブランドにたどり着きました。
シェットランドフォックス
REGALには高価格帯ブランドとして知られるシェットランドフォックスがあります。
だいたい4万円~10万円くらいの価格帯で、日比谷の店舗を中心に全国の百貨店などで手に入れることができます。
購入のしやすさや価格帯から、REGALを履いている人が靴に興味を持ち、「もっといい靴を探したい」というときにぴったりなブランドと言えるでしょう。
私も実際に購入に至ったことはわりませんが、何度か試着したことがあります。
見た目、そして試着をした感覚では、海外の高級紳士靴ブランドと遜色ないレベルの靴だと思います。
REGAL TOKYO
もう一つのREGALの上位ブランドとして存在するのがREGAL TOKYOです。
ここでも既製品を扱っていますが、銀座の店頭限定で販売されているものです。価格帯は5万円前後で、シェットランドフォックスのほうが価格の幅が広い。
ただその既製品の取り扱いは一部で、ここのメインは3種類のオーダーシューズです。
シェットランドフォックスもかっこよくて質の高そうな靴がたくさんあって興味をひかれましたが、オーダーシューズを体感したいという思いからREGAL TOKYOを選ぶことに決めました。
REGAL TOKYOのオーダー
REGAL TOKYOには3つのオーダーパターンがあります。
REGAL Built to order system
デザインや素材、色を自由に選んでグッドイヤーウェルテッド製法の靴を作ることができるオーダーシステムです。サイズはサンプルシューズの中から選択します。価格は50,600円(税込)から。
工房九分仕立て
Built to order systemと同じくサンプルシューズからサイズを選択しますが、フィッティングによってサイズ調整が可能です。最大の特徴は工程のおおよそ九分(9割)を、ビスポーク職人が手作業でつくり込むことです。サンプルシューズを履くと、そのフィット感に驚きます。価格は154,000円(税込)から。
BESPOKE
木型から作り、仮縫い靴で調整。靴の製作は職人が一針一針手仕事で作り上げ、自分の足のためだけの靴を作り上げることができます。価格は全工程手縫い(ハンドソーン)なら308,000円(税込)から。九分仕立て仕様なら253,000円(税込)から。
工房九分仕立てを体験する
今回は工房九分仕立てを選択しました。
価格帯もエドワードグリーンなどとほぼ同等なので、クオリティの比較もしやすいかなと思ったのと、さすがにBRSPOKEの価格に二の足を踏んだことがその理由です。
REGAL TOKYO銀座の店舗へ
すでにある既成靴の購入でなくオーダーシューズなので、注文に時間がかかります。
ということで事前に予約を入れていきました。
銀座一丁目にある店舗は1階に既成靴が置いてあり、2階がオーダーを受け付けるスペースになっています。
店舗に到着して工房九分仕立てを作りたい旨を伝えると2階に案内されます。
サンプルシューズで九分仕立てを体感する
案内されてまず、自分のサイズに合わせてサンプルシューズを出してくれます。
このサンプルシューズは、売り物ではなく、本当にサンプル用に作られているので、既成靴みたいに、しわをつけないようにケアしながら試し履きする必要はありません。
店員さんも「自由に歩いてみてください」と言ってくれます。
歩いてみると驚きます。
サンプルなのである程度履かれ慣れているからかとも思いますが、足に密着していながら柔らかくストレスを感じません。
店員さんが「そのまましばらく履いていてください」と言ってくれたので、オーダーのデザインなどを選択するときにもずっと履くことができます。
「長く履いていられること」は重要な要素ですよね。
既成靴は10分も20分も試着し続けることはできません。当然ですよね。売り物ですから。
だから試着した瞬間は良くても履いているうちに出てくる違和感は、実際に購入しないと気づくことができません。
でも、REGAL TOKYOの九分仕立てはサンプルシューズが用意されているので、心置きなく履き続けて感覚を確かめることができるんです。
靴のデザインを選択していく
ここから靴のデザインを選択していきます。
しかし、私の場合はここにほとんど時間はかかりませんでした。
なぜなら「黒のオーソドックスなラウンドトウの内羽根ストレートチップ」と決めていたからです。
オーダーとなると、「あれもしたい、これもしたい」と自分の欲がたくさん出てきてしまう。結果普段履けないような靴になる。なんてことにならないように「できるだけシンプルに」と心に決めていました。
内羽根ストレートチップなら活躍の場はたくさんありますしね。
それでも3つ、追加オプションをしました。
一つ目はアッパーのアップグレード。
基本はアノネイのボックスカーフですが、アップチャージすることでワインハイマーを選択することができます。
店員さんから「ワインハイマーの革は、後からじんわり光ってきますよ」と言われたことにひかれて選択。確か1万円程度アップした記憶があります(あいまいですみません…)。
二つ目はヒールに高耐久のものを選択。
オリジナルのハーフプロテクターヒール(高耐久)を選択することができます。このヒールの耐久性の高さを「つま先の削れを何回も修理しても、ヒールはまったく修理する必要がないという人もいた」と店員さんが評していたことで選択しました。アップチャージは3,300円(税込)。
三つ目はオリジナルシューツリー。
こちらは木型から削りだされたものだそうで、九分仕立てで靴を作った人のほとんどが購入するようです。そんなことを言われたらもちろん購入。価格は27,500円(税込)となかなかの高級品ですが、それもうなずけるほどのクオリティでした(後述します)。
オーダーは店員さんとの会話を楽しむ時間
私の注文がシンプルだったこともあり、オーダー自体にそれほどの時間はかかりませんでした。それでも靴について気になっていたことを店員さんにぶつけてみると、そのすべてに対して楽しそうに回答してくれました。
オーダースーツでもそうなのですが、こうした店員さんとの会話の時間がオーダーすることの醍醐味なんだなと改めて感じました。
REGAL TOKYOの店員さんとの会話の端々から靴が好きなことが伝わってきたので、安心して初めてのオーダーシューズを任せることができました。
待ちに待った完成品の到着
工房九分仕立ては手間がかかるものであるため、注文から完成まで3か月程度かかります。早くできて欲しいような、焦らされる時間をもっと楽しみたいような複雑な心境で3か月過ごし、ようやく手元に工房九分仕立ての靴が到着しました。
受け取りのひととき
店舗に受け取りにいくと、店員さんが丁寧に靴を磨いてくれます。
しっかりとクリームを使って磨いてくれるので、それなりに時間がかかります。その間も靴についての会話ができるので、これもオーダーすることの楽しみの一部ですね(もちろん磨きはなしでそのまま受け取ることもできると思います)。
工房九分仕立て外観レビュー
高級感のある袋を手にさっそうと銀座から帰宅。
玄関で早速開梱していきます。
正面から
シンプルなラウンドトウのストレートチップです。
ワインハイマーの奥から光るような鈍いつやがいい感じです。
横から
足の先から甲に向けての立ち上がりの角度に特徴があると店員さんが言っていました。
九分仕立てだからできる角度の出し方のようです。
ここでフィット感が増します!
ソールはカラス仕上げに
ソールは半カラスなども選べますが、全面黒くしました。
インソールも黒ですべて統一した感じですね。
デフォルトでヒドゥンチャネル仕様になっています。
ヒールには高耐久なREGAL TOKYOオリジナルハーフプロテクターヒールを装備。
これがほんとに高耐久で、半年間週1ペースで履いてもほとんど削れません。
オプション費用も3,300円(税込)なので、確実に選択すべきだといえます。
ウェストのえぐれ
絞り込まれたウェストはエドワードグリーンやガジアーノ・ガーリングを彷彿とさせますね。
まさに高級紳士靴の雰囲気を全体の形状が演出してくれます。
コンパクトなヒール
キュッと絞り込まれていてフィット感が抜群です。
既成靴のREGALと一番異なるところかもしれません。
強いて不満な点をあげるとすれば…
ちょっとコバの張り出しが大きいかなと。
もう少し張り出しが小さければエレガントな印象がアップするかなと。
まあ欲張りではあります。満足した上での不満点にすぎません。
高品質シューツリー
オプションでつけたシューツリーです。
木型にそったツリーを作るとこんなに美しくなるのか!
当たり前ですが、靴に余計な遊びもなくピタッとハマります。
シューツリーを眺めるだけでも、あまりのきれいさに思わずにやけてしまいますね…
履いてみた感想
最初から快適
店舗で履いたサンプルシューズは、サンプルだから履きならされているため柔らかいと思っていました。
しかし、実際に完成品を履いてみると…
はじめから柔らかい!!!
柔らかいんですが、しっかりとホールド感もあります。
これも店員さんが言っていましたが、他の靴よりも芯(固いところ)の面積が大きいようですね。
そのガチッとしたホールドがありながら、しなやかさも両立している。
自分が所有する靴の中では群を抜いて最初の履き心地はよかったです。
革質も抜群!
非常に自然なしわがはいって、繰り返し磨いたことでじんわりといい光り方をしています。アノネイの革もいいですが、育て甲斐というところではワインハイマーを選択してよかったと思っています。
修理もREGAL TOKYOの店舗へ
しばらく履いてつま先が削れてきたので、購入した店舗で修理もお願いしました。
持っていくと店員さんが「いい感じに育っていますね。また磨いておきますね」と。
これから長く履く靴と同じように、REGAL TOKYOの店員さんたちと修理やメンテナンスを通じて長く付き合っていけることにも喜びを感じた瞬間でした。
まとめ:値段以上の価値があるREGAL
海外ブランドの靴に興味を持ってから、正直REGALの靴を購入検討することがありませんでした。
今回工房九分仕立てを体験したことで、「やっぱり日本の靴っていいな」と改めて思うことができました。
完成品の靴のクオリティの良さだけでも値段以上の価値があったなと思うのですが、完成品に至るまでのオーダーの過程にも大きな価値があったと感じています。
靴に詳しい店員さんとマンツーマンで長時間相談できる贅沢な時間、焦らされながらも靴の完成を待つ時間、そしてこれから続くメンテナンスでお店と長くつながる時間、モノ以上に体験としての価値がありました。
こうなるとより濃密な「体験」ができそうな「BESPOKE」にもいつか足を踏み入れてみたい!
ただ、さすがに靴への投資が膨らみすぎているので、まだまだ先になりそうです…