革靴のデザインはそれほど多くありません。
そのためメーカーが違えども似ている靴がたくさんあります。
ただ、ぱっと見では違いがわからなくても、手に取ってみたり、近くで見てみたり、そして履いてみたりすると違いを感じることができます。
それが革靴の魅力のひとつだと思うんですよね。
そこで今回は、
エドワードグリーンのドーバー
と
三陽山長の勘三郎
Uチップでよく似ているこの2つを比較してみたいと思います!
わかったことは、細部を見ると結構違う!!
もしもどちらを買おうか迷っている人がいたら参考になれば幸いです!
目次
私の手持ちのドーバーと勘三郎のプロフィール
ブランド:エドワードグリーン
モデル名:ドーバー
製法:グッドイヤーウェルテッド
サイズ:7.0
ラスト:606
カラー:ダークオークアンティーク
アッパー:カーフ
ソール:牛革(スペードソール)
参考価格:205,700円(税込)
※2022年現在のストラスブルゴで販売されている定価(参照:ストラスブルゴオンラインストア)
ブランド:三陽山長
モデル名:勘三郎
製法:グッドイヤーウェルテッド
サイズ:7.0
ラスト:R2010
カラー:ブラック
アッパー:カーフ
ソール:牛革
参考価格:105,600円(税込)
※2022年現在の定価(参照:三陽山長公式HP)
似ているけれど、どこが違う?
ぱっと見は違いがわからない
まずは全体像を改めてみてみましょう。
どうでしょう?
ぱっと見ただけでは違いはわかりませんね。
よほど革靴に熟練している人でもない限り、人が履いている靴を見て「それ、勘三郎ですね」と迷いなく言える人はなかなかいないでしょう。
私は間違いなくわかりません。
でも、細部を見ると違いが見えてくるんです。
ちょっと前傾姿勢の勘三郎?
この写真をよーく見てみてください。
靴先端のスキンステッチ(縫い目が見えないステッチ)の部分。
勘三郎のほうがちょっと短い。
つまりUの字のステッチが勘三郎のほうがドーバーよりも前よりになっています。
さらに、外羽根の羽根を見てください。
これもちょっと前に出ている。
全体的に勘三郎は前寄り。そう前傾姿勢になっているんです!
そうやって見ると勘三郎は前方へ攻めていて勢いがある印象。
ドーバーはどっしり後ろに重心があって貫禄がある印象。
うーん、細部を見ていくと印象が変わるもんですね(個人の感覚です)。
スキンステッチにスキあり!?
次にスキンステッチを見てみましょう!
ドーバーのほうがピタッと隙間なくつながっているように見えます。
勘三郎はところどころに隙間が見える。
ただ、これは技術的にどちらが優れているのか、素人の私には細部をよく見てもわかりません。
ひとつ言えることはどちらも美しいということですね(調査放棄)。
革質はさすがのエドワードグリーン
勘三郎は若干大きなうねりのしわがはいっています。
対するドーバーはうっすらと波打つ程度。
ラストと足の相性や個体差といった要因もあるとは思いますが、革質の面ではエドワードグリーンに軍配が上がるようです(あくまで私が持っている個体ではですが)。
ドーバーはどっしり!勘三郎はコンパクト!
次はソール側から見てみましょう!
明らかに大きさが違いますね。
とくにヒールの大きさがまったく違います。
それもそのはず、ドーバーはウェルトをぐるりと1周する「360度グッドイヤーウェルテッド製法」。
後ろから見ても大きさの違いは明らかです。
その影響か、ドーバーのほうが重いと感じる!
なので、重さを実際に測ってみました。
その差は、
16グラム!
あまり差がない!
勘三郎にハーフラバーを貼っている影響もあるのか…
ただ履いた感覚は勘三郎がすごく軽く感じます。
勘三郎はコンパクトで軽快、
ドーバーは武骨で重厚感がある。
勘三郎のほうが名前的には武骨な感じなんですが。
足首に向かってうねるドーバー
最後に正面から見てみましょう。
ドーバーのほうが足首に向かって大きくうねっています。
高級靴はこのうねりがすごい印象があります。
しかし勘三郎も、程度の差こそあれ足なりにそった設計になっているので、履き心地に与える影響はそれほど大きなものではないと思います。
まとめ:同じに見えてもそれぞれに特徴がある
勘三郎の特徴は、
■前傾姿勢のUチップ
■軽さを感じる作り
■全体的にコンパクトで警戒
ドーバーの特徴は
■後ろ重心でどっしり
■卓越した技術と革質
■武骨で重厚感がある
勘三郎はスポーツカー、
ドーバーは戦車といったところでしょうか。
これだけよーく見てみて初めて気がつくくらいの差なので、繰り返しますがパッと見は見分けがつきません。
2倍程度の価格差があるので、「さすがに20万円も払いたくない!けどドーバーは欲しい」という人に、おすすめできるクオリティが勘三郎にもあると思います!
「じゃあなんでお前はドーバーも持ってるんだよ!」
と思うかもしれません。
私もそう思います。
でも、なぜか履いてみたくなる。
そんな衝動を呼び起こすほどエドワードグリーンというブランドに魅力がある。
新しい革靴を買うことにもはや論理的な説明はできなくなっています…